名湯山中温泉の飲泉宿!薄甘ダシ味がクセになる
[石川県] すずや今日楼
今回の温泉探訪記ガイドはこの人
東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター)。
交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床にて、車でヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は1,500以上。
加賀温泉郷のひとつに数えられる山中温泉。文字通り山の中にあり、情緒溢れる温泉街が魅力な温泉地です。
現在でも30軒弱の旅館・ホテルが存在していますが、温泉マニアとしては「湯使い」にこだわりたい…と思い、今回は山中温泉でも珍しい「飲泉」のできる宿「すずや今日楼」に行ってきました。
温泉街から少し高台に位置する老舗旅館
共同浴場の「菊の湯」を中心とした温泉街から、少し離れた高台に位置する「すずや今日楼」。山中温泉らしく、急勾配に建つ老舗旅館は、玄関受付が2階でお風呂が地下1階、この日の客室が4階というつくりです。
歴史ある硫酸塩泉を堪能
地下1階の大浴場は、男女別にそれぞれ内湯と露天風呂があります。深夜の2時に入れ替わるため、宿泊すれば、どちらのお風呂も楽しめます。
無色透明でやさしいお湯の山中温泉。泉質は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉です。香りはほとんどなく、ほのかに鉱物っぽさを感じるお湯は、ツルツルスベスベの肌触りと、キシキシとする肌触りを同時に感じる「ザ・硫酸塩泉」。
しばらく入っていると、お湯が肌にまとわり付き、「化粧水」に入っているような感覚は、明らかに水道水とは違う、やさしくなめらかな湯心地です。
名湯・山中温泉を名物・山中塗りのおわんの湯で
山中温泉は、温泉だけではなく、古くから「山中漆器」の生産地としても有名な地区。「すずや今日楼」の露天風呂は、そんな「山中塗り」を模したおわんの形の湯船です。
名湯・山中温泉を、名物・山中塗りのおわんの湯で堪能。名物を一気に体感できるお得なお風呂です。
ちなみに、おわんに湯は、男女別で「赤湯」「黒湯」と色が異なります。深夜で男女が入れ替わるため、夜風呂と朝風呂でどちらのおわんの湯にも入ることができます。
また、露天ですが、屋根が付いているので雨でも安心。山の香りを運んでくる、心地よい風を感じながらの湯浴みは絶品です。
山中温泉でも珍しい飲泉
名湯・山中温泉の老舗旅館。お湯が良いのは当たり前ですが、「飲泉」までできるのは、本当にお湯が良い証拠。飲泉のできる旅館は、山中温泉の宿でも珍しいとのことです。
「飲泉」は、露天風呂の湯口から可能です。無色透明で甘い香りの、やさしいお湯ですが、飲んでると、ほんのり甘くちょっぴりダシの効いた味。例えるなら、硬水のミネラルウォーターを、更に硬く、ダシを効かせたような感じで、クセになる味でした。
非常にハードルが高く、新鮮な状態を保たなければ取れない飲泉許可。「すずや今日楼」は、そんな高いハードルをクリアした、山中温泉でも珍しい旅館。「湯使い」で宿を選ばれる方には、特におすすめです。