日本最古の温泉地として知られる有馬で、金泉、銀泉、炭酸泉、サウナ、岩盤浴まで楽しめる「有馬温泉 太閤の湯」歴史探訪型の温泉テーマパーク。こちらの総支配人である株式会社有馬ビューホテル 専務取締役執行役員の羽栗浩司さん。 「お客さまには温泉で健康になってほしい」「世界のみなさまにも有馬の魅力を伝えたい」の想いで取り組まれる、有馬温泉ならではの魅力・価値を活かしたさまざまなアイディア企画、また羽栗さんご自身の暮らしのなかで心がけていることをお伺いしました。
Profile
羽栗浩司 はぐりこうじ
有馬温泉 太閤の湯 専務取締役執行役員 総支配人
株式会社有馬ビューホテル/阪急阪神第一ホテルグループ
ホテル阪神(現 阪急阪神ホテルズ)に入社、有馬ビューホテルへの出向を経て総支配人に就任。有馬温泉の素晴らしさを国内はもちろん海外にも届けたい、多くの方に温泉で癒されてほしいと日々邁進。最近のマイブームは通勤中にスマホで楽しむK-POP、韓流ドラマ、アニメ等。
INDEX
温泉そのものにある、コンテンツのちから
前職はホテルマンでした。最初は阪神タイガースで有名な阪神グループのホテル阪神(現 阪急阪神ホテルズ)に就職し、阪急・阪神経営統合をきっかけに2010年に有馬ビューホテルに出向で入ったのが、「有馬温泉 太閤の湯」に関わることになったきっかけです。
ホテルに勤めていた時は、お客さまにはいろいろな目的の人がいらっしゃいましたね。お客さまに来られた目的を聞くわけにいかないですから、わからないままサービスをすることもありました。でも温泉なら日ごろの疲れを癒したい、温泉を楽しみたいと目的がはっきりしています。お客さまのニーズがはっきりしているから、取り組むことはおのずとわかってくるようになりました。
温泉って誰でもが年齢問わず楽しめるものですよね。温泉というもの自体が強力なコンテンツなんです。この温泉そのものの素晴らしさをどのように伝えていくかは難しさもありますが、可能性が広がる楽しい部分だと思っています。私はターゲットを絞ることなく、世界中のみなさまに有馬温泉の魅力を知ってもらいたいと考えています。
唯一無二のユニークな温泉
「日本三名泉」は有馬温泉・草津温泉・下呂温泉、「日本三古泉」は有馬温泉・道後温泉・白浜温泉。この両方に数えられている温泉は有馬温泉のみです。またこれらの温泉の中で、有馬温泉は最も主要都市から近いので、全国からお客さまが来てくださいます。
また有馬温泉にはご存知の通り、金泉と銀泉という2種類の温泉がありますが、特に金泉は一般的な他の温泉と比較しても大変濃度が濃くて、療養にもいいと言われています。
「金泉は何故、濃いのか?」これは海の水が今の倍ぐらい濃かったとされている600万年前の古海水が、マントルの熱で熱されて湧出しているからだという説があります。だからこそ、濃い茶褐色の濁り湯にいい成分がたっぷり含まれていているのです。これは世界的にも珍しい貴重な温泉です。毎週のようにいらっしゃるご年配のお客さまも、入らないと足が痛いだのあちこち不調だとか。私もよく入りますが、今さらですが本当にからだが冷めないですよ。身体が芯からあったまります。この有馬でしかない貴重な温泉を、是非実際につかって体感してみていただき、癒されてほしいです。
また太閤秀吉が9回も訪れたといわれるお風呂を再現したり、安土桃山時代の内装にもこだわっているので、いらっしゃったお客さまにはこのあたりもわくわくして楽しんでほしいと思っています。
温泉浴と森林浴のこだわり
「温泉で健康になってほしい」、そんな想いでさまざまな取り組みを続けてきました。2007年太閤の湯は、厚生労働省が定める「温泉利用プログラム型健康増進施設」として認定され、翌2008年には「社内温泉コンシェルジュ制度」を導入。太閤の湯ならではのお風呂の入り方や、健康のためのアドバイスも行っています。温泉だけではなく、「太閤四季彩園」という森林浴にもってこいのヘルスレーンがあり、森林セラピー協力施設にも認定されました。「温泉+森林浴+森林ヨガ」というプログラムでは、有馬の森をゆっくり楽しみながら、心とからだをリラックスしていただくことができます。
昨年2023年においては、温泉を活用したリゾート有馬ならではのヘルスサービス「有馬温泉周辺の観光セラピーウォーキング&カジュアルヨーガ」のプログラムでヘルスツーリズム認証を取得しました。いろんな泉源があるのでこれらを巡りながら有馬町内から歩いていくと、「鼓ヶ滝(つつみがたき)の滝」があり、ここはマイナスイオンを感じられてとても気持ちがいいです。豊かな自然の中のアクティビティや、その土地の文化や地域の方々との交流を通して、非日常的な空間で健康になっていただきたいと思っています。
薬草やアートとのコラボも積極的に
最近では、太閤の湯の玄関前で「当帰(トウキ)」を育てたりしています。当帰というのはせり科の薬草で、根は古くから漢方薬として使われています。根っこの部分は薬事法で規制されるのですが、対象外の葉にも栄養成分があるので、この当帰葉を使ったお風呂「当帰湯」や兵庫医科大学とワークショップなどのコラボも積極的に行っています。実際に当帰葉をつかった「当帰湯」は、末端神経を刺激してポカポカと身体が温まります。といっても今まで当帰湯のイベントは女湯でしかやったことがない。当帰は希少で、実はたっぷりと男女のお風呂に使えるほどには量がないんです(笑)。あと当帰の葉っぱの粉を絡めてつくった唐揚げ、また刻んだ当帰を混ぜた大根おろしをメニューでも販売しているのですが、これがまた結構クセになるんですよ。
現代アートにも力を入れています。具体的には、六甲山で毎年秋に開催される「六甲ミーツ・アート芸術散歩」という現代アートイベントがあるのですが、「太閤の湯賞」を受賞した作品を「太閤の湯」に移設して玄関に飾っています。野沢温泉の岡本太郎さんみたいになれるといいですね(笑)。温泉と現代アートというと意外な気もしますが、温泉に癒しを求めてきた人に現代アートにも触れていだきたいと思っています。
世代や文化を超えたコミュニケーションから
大阪から通勤しているのですが、日々の移動時間では、スマホを使って音楽を聴いたりドラマを見たりしています。ジャンルは、お恥ずかしながらK-POPとか韓流ドラマとかアニメとか。太閤の湯のスタッフには若い人も多くて、その方たちと話が通じて、コミュニケーションツールになっています。年代を越えて交流できるのは楽しいです。
お客さまとのコミュニケーションも同じことだと思うんですよね。いろんな文化や年代を超えて、お客さまがどのようなことを求めていらっしゃるのかを、親身になってお伺いしていけば、これからもさまざまな楽しみをお届けできると思っています。
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません
提供元:有馬温泉 太閤の湯
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