ココロとカラダをととのえる“暮らしの主人公Stories”

【薬膳レシピ】vol.7 「いちごとモッツァレラチーズのカプレーゼ 山椒ドレッシング&菜の花と豚しゃぶのりんご山椒おろし和え」

季節に合わせて生きることは、自分らしく生きること─。このコーナーでは、国際中医薬膳師・国際中医として活動しながら、さまざまな「食」に関するプロデュースもされている小池美枝さんに、各季節にあわせた、さまざまな薬膳レシピをご紹介いただきます。

INDEX

こんにちは。薬膳料理研究家の小池美枝です。4月になって春本番です。桜も咲き、春野菜もおいしくなってきました。暖かい日は汗ばむ陽気になりましたね。そうなると、皆さん動きたくなりませんか?

1. 薬膳における「巡り」と山椒

これから夏にかけて、身体は活動的になってきます。活発に動くときこそ、大切なのが「巡り」。気も血もきちんと巡らせてあげないと、滞りができてきます。気が滞ると「気滞」といって、気持ちが鬱々としてきます。血が滞ると「瘀血(おけつ)」といって、血の巡りが悪く鬱血してきます。

そんなときにいい働きをしてくれる食材が、山椒。まさに今が旬ですね。山椒の若葉でもある木の芽は、これから筍と合わせて炊いたらおいしいし、初夏にかけて採れる実山椒もさわやかな香りがよいですね。

今回は、スパイスとしても人気の山椒をつかった2品をご紹介します。まずは、山椒について少しお勉強。

2. 山椒について

古くから若葉や果皮は香辛料として、また薬用にも使われていました。木はすりこぎにもなりますね。しびれるような辛味成分サンショオールは、食欲増進や胃腸の働きを活発にし、抗菌や殺菌作用もあります。

薬膳的にも、「温中=お腹をあたためる」「降気=気をおろす」「固歯=歯の痛み」にもよいです。春は、三寒四温でまだ寒いので、お腹はあたためてほしいし、一方で「肝」の「気」があがるといわれています。これはイライラしたり、頭が痛くなったり、上半身に不調が出やすい季節でもあるのですが、それをすっきりと下にさげてくれて、巡らせてくれる。そんな春の不調にぴったりのスパイス。

ここで、ちょっと雑学。

中国の山椒=花椒(ほわじゃお)をご存じですか?麻婆豆腐に使われていますね。薬膳的には効能が違います。

花椒の効能は、「温中=お腹をあたためる」「散寒=寒さをとる」「祛湿=湿を取り去る」「止痛=痛みを緩和させる」です。同じ山椒でも、これだけ違います。

では、今回のお料理です。
◇いちごとモッツァレラチーズのカプレーゼ 山椒の香りのドレッシング
◇菜の花と豚しゃぶのりんご山椒おろし和え

どちらもとっても簡単です。

3. お肌が乾燥したり、便秘がちな人に

いちごとモッツァレラチーズのカプレーゼ 山椒の香りのドレッシング

材料:
◇いちご 1パック
◇モッツァレラチーズ 1個(小さなものを適量でもよいです)
◇オリーブオイル 大さじ2
◇ホワイトバルサミコ 大さじ2
◇メイプルシロップ 大さじ1
◇グラニュー糖 大さじ1
◇実山椒 15粒くらい
※写真は、飾りにざくろをつかっていますがなくてもよいです

作り方:

1. いちごはへたをとって半分に切り、グラニュー糖をまぶして水分をだしておく

2. モッツァレラチーズは薄切りにする
3. オリーブオイル、ホワイトバルサミコ、メイプルシロップに、実山椒をたたいて細かくしたものをあわせて、よく混ぜる(泡だて器で攪拌するとおいしいです)

4. 3に1を、汁ごと和える
そうすると、甘酸っぱい味と、きれいなピンク色がミックスされて、おいしくて、きれいです。


5. お皿に、モッツァレラチーズ、いちごをきれいに盛り付けて、ドレッシングを上からかける

4. 巡りをよくして、お腹の調子をととのえたい人に

菜の花と豚しゃぶのりんご山椒おろし和え

材料:
◇菜の花 1束
◇豚バラ肉(しゃぶしゃぶ用) 150g
◇りんご 1/2個
◇しょうゆ 小さじ1
◇乾燥山椒 10粒くらい

作り方:

1. 菜の花は、さっと湯がいて3㎝くらいに切りそろえるこのとき、湯に塩と、オリーブオイル数滴を入れておくと、色が鮮やかな仕上がりに


2. 豚肉もさっとゆでておき、食べやすい大きさに切っておく
3. りんごをすりおろす

4. 乾燥山椒は、細かく刻んでおく

5. りんごのすりおろし半量をボウルに入れ、そこに刻んだ山椒と、豚肉、菜の花をいれ、しょうゆをあわせる
6. お皿にもりつけ、残りのりんごのすりおろしを添えて、和えながらいただく

いちごの一皿は実山椒、菜の花の一皿は乾燥山椒、と使い分けました。いちご、チーズのしっとりした感じには、やわらかい実山椒が合いますし、りんごの甘酸っぱいおろしには、時々ぴりっとくる乾燥山椒が合うと思います。どちらも、粉ではなく、粒など荒くつぶしたもので、 食感が残るものを使うと、香り、食感が引き立ちます。

最後に。今回の山椒は、有馬の山椒をつかいました。山椒は、日本の様々なところで採れますが、有馬山椒は特に香りがよいとされています。全国に知られる名産「有馬山椒」は、六甲山系に自生する「ヤマサンショウ」のことをいうそうで、若葉を「木の芽」、雄花を「花山椒」、雌花につく実を「実山椒」といい、それぞれ違った形で料理に利用されます。

山椒の実の色も、きれいなやさしいグリーンで、その色が香りに反映されたかのようにとてもフレッシュでさわやかな香りがします。

ピリッと辛いのですが、森で森林浴をしたような清々しさがあって、わたしはとっても果物と合うなあと思い、今回はいずれの献立にも果物を使いました。

どちらも、とっても簡単にできますので、ぜひつくってみてください。1つだけ、おいしく作るコツ。それは開けたての山椒を使うことです。香りが命。フレッシュな山椒の香りで、気も、血も巡らせてくださいね。

ココロが動くと、体が変わる「Yakuzen retreat®」主宰
ウェルネスライフ プロデューサー・薬膳料理研究家 小池 美枝

食医・薬膳料理研究家として、講師・料理教室・執筆活動・企業向けセミナーなどを手掛けている。さらに、レストランのメニュー開発コンサルティングやイベント企画運営といった活動も行っており、「食」に関して幅広く活躍。

※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません

提供元:株式会社アール・ド・ヴィーヴル

関連記事

この記事はいかがでしたか?
この記事をシェアする

コピーしました!