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最終更新日：2024年04月25日

元アイドルの若女将が迎える滋賀「宝船温泉湯元ことぶき」露天風呂にサウナに音楽スタジオまで！滋賀

琵琶湖のほとりに位置する「宝船温泉湯元ことぶき」は、日帰り入浴も可能な温泉宿です。風情ある露天風呂や内風呂、さらに2023年10月、屋外にバレルサウナのエリアがオープン。湖からそよぐ爽やかな風を感じながらサウナと温泉が楽しめます。

近江牛や琵琶湖にしかいない珍しい魚など滋賀グルメに舌鼓を打てるのも醍醐味の一つ。そして、若女将はなんと「元アイドル」の現役アーティスト。音楽スタジオまで備えたユニークなお宿の多彩な魅力をご紹介します。

「宝船温泉湯元ことぶき」は辿り着くまでの道中も楽しい

目の前に現れた謎の巨大な男

「宝船温泉湯元ことぶき」への最寄り駅はJR湖西線「近江高島」駅。駅前には巨大な銅像が立っている。誰？

滋賀県の高島市にある「宝船温泉湯元ことぶき」の最寄り駅はJR湖西線「近江高島」駅です。駅を降りると、びっくり！目の前には高さ7メートルもある巨大な外国人男性の銅像が立っているではありませんか。あなた、いったい誰？

この男性の正体はアイルランドの名作文学『ガリヴァー旅行記』に登場するガリヴァー船医（ガリバーとも書きます）。「滋賀県とガリヴァー、いったいどういう関係？」。実は平成4年、同市にレクリエーション施設「ガリバー青少年旅行村」が開かれたのをきっかけに、彼は街のシンボルとなったのです。「ガリバーもなか」など、ゆかりのおみやげもあるんですよ。

目指す宝船温泉湯元ことぶきは近江高島駅からタクシーで5分。宿泊客は予約すれば送迎車のサービスもあります。

とはいえ、天気がよい日ならば、筆者のお勧めは徒歩。時間にして30分かかりますが、道中は地元の酒蔵や水面がキラキラ光る琵琶湖など素晴らしい景色がふんだんにあります。絶好のハイキングコースなのです。

道中は地酒の蔵など歴史を感じさせてくれる建造物が建ち並ぶ。清酒「萩の露」は宝船温泉湯元ことぶきでもいただける。

心が洗われる琵琶湖の眺め。

夕暮れどきの光景も素晴らしい。

目の前はオートキャンプもできる水泳場

清潔な砂浜が広がる琵琶湖「近江白浜水泳場」の目の前に建つのが、風情ある日本家屋の宝船温泉湯元ことぶき。創業は昭和40年。先々代が湖（うみ）の家を営み、湖で身体が冷えたお客さんをもてなそうと温泉を掘ったのが、温泉宿へと発展したきっかけなのだそうです。

「宝船温泉湯元ことぶき」は平屋の日本家屋。

宝船温泉湯元ことぶきは、さらに近江白浜水泳場に「宝船温泉ファミリーキャンプ場」も開設しています。夏の浜開きを終えた季節であってもオートキャンプから温泉まで、一年中レイクサイドレジャーをたっぷりエンジョイできる宿なんです。キャンプ場の駐車場が利用できるので、自家用車での来訪も安心。

松の木が風情ある「宝船温泉ファミリーキャンプ場」。

キャンプ場は陽が暮れるとさらにいい雰囲気に包まれる。

笑顔で迎えてくれる若女将は「元アイドル」

「水泳場は遠浅で安全性が高いので、ファミリーで湖水浴にお見えになるお客様が多いです。湖で泳いだ帰りにサウナや貸し切りで露天風呂を堪能されるご家族がたくさんいらっしゃいます」

そう言って迎えてくださったのは、大久保琴江さん。2023年4月に代表取締役社長となった、平成元年生まれの若女将です。

3代目の若女将、大久保琴江さん。

ほっとする笑顔の若女将は、実は「琴江」の名で活動するアーティスト。さらに2021年までガールズユニット「AH（嗚呼）」の人気メンバー「りりかる＊ことぱぉ」としても活躍した元アイドルでもあるのです。全国ネットの番組に何度も出演したり、CDリリースがたくさんあったりするので、ご存知の方が多いのではないでしょうか。

大久保さんはアーティスト「琴江」として活躍している。

ライブは頻繁に行っている。「週末は必ず東京でライブしていました」という時期もあった。

フロントではCDをはじめアーティストグッズが販売されている。

フロントには地元生産者の近江米の販売もあり、「滋賀に来たぞー！」と気分が盛り上がります。

近江米がおいしい理由の一つが、いい水を使って育てられているところ。実は高島市は「名水の街」としても知られています。森林が70％以上を占める高島市は、冬季に樹々に降り積もった雪が春になるととけて地下や琵琶湖へ流れ込むため、「水質がいい」と評判なのです。

フロントで近江米が販売されている。滋賀の温泉宿ならではの風景。

大久保琴江さん（以下、琴江）「この辺りは水がいいので、お米や作物、湖の魚がとってもおいしいし、質がいい温泉も豊富に湧いているんですよ」

館内には和室が4部屋。宿泊客だけではなく、日帰りの際のお食事処としての利用も可能です。平屋建てならではの、庭木を眺められる造りになっています。窓の向こうには琵琶湖が広がり、自然に囲まれながら、時間がゆっくりと過ぎてゆく贅沢を味わえるのです。

落ち着く和室が4部屋。宿泊しなくても食事や休憩に利用できる。

庭を眺めながらくつろげる。庭木の向こうには琵琶湖が広がる。

風情ある露天風呂から最新鋭のサウナまで多種多彩

日帰り温泉は貸切「露天風呂」、男女別「内風呂」、水着着用の屋外「サウナエリア」の3種類。入泉料はすべて税込みで、フロントにてお支払い。カードとPayPayに対応しています。（宿泊の場合は、宿泊料の中に入泉料が含まれています）

源泉かけ流しの温泉はミネラル豊富

露天風呂「ことぶきの湯」は日帰りならば50分制の貸切。予約優先で10：00～20：00（19:00最終受付）まで入浴できます。

料金は一人1,500円（貸手ぬぐい付）。小学生以下500円。合計金額が3,000円以上での受付となります。シャンプー、リンス、ボディーソープは備えていますが、シャワーがないので汲み湯で流してくださいね。

露天風呂「ことぶきの湯」

宿泊の場合、露天風呂の時間制限はありません。ただし、21：00～翌朝9：30限定の利用となります。

夜の露天風呂も情趣がある。

露天風呂をはじめ、温泉は炭酸を含む「メタケイ酸」の源泉を41、42度に沸かして使っています。にごり湯で、とろりとしていて柔らかい。鉄分が豊富だからなのか、「身体が温まるスピードが速いな」と感じました。それに湯冷めがしにくく、ずっとぽっかぽか。

男女別「内風呂」は9:00～20:00（19:30最終受付）。こちらは予約なしで利用できます。料金は大人700円。子ども（1歳～小学6年生）350円。0歳は200円。

別棟にある、まるで銭湯のような雰囲気の内風呂。

立派な石積みに圧倒される内風呂。

＊料金は2024年4月時点の情報です。

琵琶湖の風を感じられる新登場の屋外サウナエリア

さらに、ぜひとも体験してほしいのが、こちら。2023年10月にオープンした、水着とサンダル着用の混浴「宝船サウナ」エリアです。

2023年10月に新登場した「宝船サウナ」エリアには大きなバレルサウナが設置されている。

一度に10人まで利用できる大きなバレルサウナは、熱いサウナストーンにアロマ水をかけて発汗をうながすセルフロウリュウが可能。たちのぼる蒸気のおかげで、玉のような汗が流れます。

樽型サウナの内部は10人が余裕で座れるサイズ。

若女将自身も利用している。

琴江「紀元前からサウナ文化があったという本場エストニアから輸入しました。『私がこの宿を継ぐのならば、絶対にサウナを置きたい。サウナをきっかけに若いお客さんにもどんどん来てもらいたい』と、3年前から計画して、やっと実現したんです」

塀の向こう側には琵琶湖が広がる。湖から吹く風が心地いい。

しっかり汗をかいたら、併設された源泉の水風呂と交互に入浴すると、さらに快適。抜けるような青空の下、琵琶湖から吹くそよ風を一身に浴びていると、「ああ、なんて気持ちがいいんだ～」。日頃のストレスが解消されていくのを感じます。

サウナエリアには冷泉の浴槽やシャワールームなどがある。

壺湯の浴槽は焼き物。

琴江「浴槽は、滋賀が誇る伝統工芸品、信楽（しがらき）焼です。ちゃんと自分で足を運んで確かめて選びました。浴槽からも滋賀の魅力を感じてもらえると嬉しいです」

滋賀の伝統工芸「信楽焼」の浴槽を自ら選んだ。

こちらの温泉の泉質は単純炭酸鉄泉。18～19℃の「冷泉」と、チラー（温度制御する装置）でさらに14～16℃まで下げた「極冷泉」があります。

冷泉とはいえ、とろんとしていて、チクチクする刺激はありません。それでも身体が冷えたならば、2機の温水シャワーでぬくもってくださいね。

陽が暮れてからは、不定期で壁に映像を上映しています。プロジェクションマッピングやバスインシアター体験ができる、エンタメ度が高いスペースなのです。これもまたアーティストである若女将の感性が光るアイデア。

一見、ごく普通の壁だが……。

夜になるとスクリーンの役目を果たす。

宝船サウナエリアに入場できるのは、火曜～金曜（予約優先）と土曜・日曜・祝日。時間は10:00～20:00。料金は90分制で平日は一人¥2,000、週末と休日は一人2,500円。貸切利用を希望する場合は電話でのみ受付しています。

水着やタオルは基本的には持参するシステム。水着レンタル（500円）は「サイズと数量に限りがある」とのこと。ほか、バスタオル100円。手ぬぐい50円となります。

独特なのが、更衣室の扉を開けると現れるホール。向かって右側には懐かしいテレビゲームや漫画などが自宅感覚で楽しめるくつろぎの空間。左側にはネットワーク設備を整えたワーキングスペースがあるのです。パソコンで作業をしたり、ライブ配信をしたり、至れり尽くせり。女性、男性の境なく一緒に過ごせます。

更衣室のホールではテレビゲームで遊べる。

インターネット環境があり、ライブ配信なども可能。

琴江「右から左にかけて、昭和から令和へと時代がボーダレスでつながっているのを表現したんです。性別や世代の隔たりを取っ払って、のんびり過ごしていただきたいですね」

「世代や性別のボーダーを取っ払って楽しんでほしい」と語る。

滋賀産の食材をふんだんに使った料理がおいしい

ここでしか味わえない琵琶湖の固有種「ビワマス」のひつまぶし

お風呂を満喫したあとは、滋賀の恵みをふんだんに使ったお食事はいかが。こちらの名物は「びわますひつまぶし」（2,500円／税込）。

希少なビワマスを贅沢に敷き詰めた「びわますひつまぶし」。

琵琶湖にしか生息しない固有種ビワマスを、魚体が傷つかぬよう漁師が1本釣り。そんな貴重なビワマスを刺身、炙り、漬け、煮つけの4種類に調理し、おだしをかけていただく贅沢なメニューです。

おだしをかけて、お茶漬け感覚でいただく。

琴江「先代の父が料理人で、腕を振るっています。うちのメイン食材はビワマスと近江牛。『滋賀県には、こんなにおいしいものがあるんだよ』と知ってもらいたくて、地元素材を吟味しているんです」

近江牛はしゃぶしゃぶや陶板焼きなどで提供。

燻製もお父さん自慢の料理。湖魚や鴨など滋賀産食材を飴色になるまで燻した、滋味あふれる逸品。自然に囲まれ、煙を出せる環境だからこそ提供できる、ここだけの味です。

先代だった父が手作りする燻製も絶品。

「食事もいいけれど、風呂上りは冷たいドリンクでさっぱりしたい」というあなたにおすすめなのが、ギンギンに冷やしたジョッキに注ぐ「ビワサイダー」（400円）。地元メーカーの栄養ドリンク「ビワバイト3000」とサイダーを1：1で割ったビタミンジュースです。まさか、ドリンクにまでご当地メニューがあるのは。ここはSHIGA LOVEの気持ちに包まれた温泉宿なのです。