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この夏、泊まりました。
みなさん書かれていますように、外観に風情がなかったり、ロビーの椅子の上にダンボールの小箱が置きっ放しだったり、山の宿なのに海のものの刺身がでたり、評価を下げる点もないわけではありませんが、それを補ってあまりある、魅力のある宿と言えるでしょう。
予約したときは「最後の一部屋」だったのですが、着いてみると一組キャンセルが出たようで、その方たちが泊まるはずだった最も眺めのいい部屋に入れていただきました。とても幸運でした。部屋は広縁がついていてゆったりとしていまいた。冷蔵庫は置いてありません。1階に飲み物が入った大きな冷蔵庫があり、精算時に自主申告して料金を払う仕組みなっています。このせちがらい世の中でなかなかできないことだと思います。露天風呂への出口のところにも別の大きな冷蔵庫が置いてあり、こちらは持ち込み用とのことです。
部屋に落ち着いた後、まずは日の出から日没までしか入れないという露天風呂「山翠」へ。ここは宿から少し登ったところに造られているのですが、途中に休憩所「山露庵」があります。宿の外観は風情がありませんが、この建物はなかなか味わい深い建物です。その脇を通り、車道を越えたところに「山翠」があります。脱衣所の扉を開けると、岩を配した風情ある露天風呂が目に飛び込んできます。お湯はもちろん白濁した硫黄泉。お風呂の向こうは自然林です。眺望があるわけではありませんが、緑に囲まれて湯浴みは最高です。
食事に関して。どなたかご指摘の通り、食事は夕、朝食ともに一度に運ばれてきます。ただ、焼物の火はこちらで好きなときに点けられるようにされていました。改善されたのかもしれません。食事に関しては刺身が出たこと以外はたいへん満足しました。一度に運ばれてくることに関しては仕方がないように思います。思い切って部屋食をやめて食事処でいっせいに供するようにするのがいいかもしれませんね。
夕食の後はもう一つの露天風呂「風楽」に。こちらはうってかわって木の温もりを生かしたお風呂です。ここにも白濁した湯が惜しげもなく注がれていました。この日は十六夜の月。月明かりに照らされての入浴となりました。内風呂も露天風呂とは違った雰囲気で風情満点です。湯治場のお風呂のように年季の入った湯舟がたまりません。
朝夕で6度湯に浸かりに行ったのですが、いついっても貸しきり状態。規模の小さな宿ならではだと思いました。お風呂で出会った人との語らいも楽しいものですが、たまには湯舟を独占するもの悪くありませんでした。ゆったりとした気分で温泉を楽しみたい人にはおすすめの宿です。0人が参考にしています