ココロとカラダをととのえる“暮らしの主人公Stories”

【薬膳レシピ】vol.2 百合根と黒米の炊き込みごはん&ホタテのソテー

ココロと体をととのえる食事とは─。このコーナーでは、国際中医薬膳師・国際中医として活動しながら、さまざまな「食」に関するプロデュースもされている小池美枝さんに、陰陽五行や気血水の考え方にちなんだ、身近な食材でできる薬膳レシピ2つをご紹介いただきます。

INDEX

1. 薬膳料理とは

こんにちは。薬膳料理研究家の小池美枝です。薬膳料理ってご存知ですか?

薬膳は、漢字で書くと薬のお膳。なんだか薬っぽいなあと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、実は、身近な食材で作れて、毎日食べたら、ココロも体も健康になるごはんのことです。

薬膳といっても漢方薬に入っているような「生薬」ではなく、身近な食材で作れます。
具合の悪いところを治すためのごはん=療養食の場合は「生薬」を入れて作りますが、ここで紹介するのは皆さんがスーパーなどで買える食材を使った日常のごはんです。

薬膳的見地からみると、それぞれの食材には、ココロを元気にする、体を元気にする効能があり、どの効能をどんなふうに組み合わせるかで、献立が決まります。

専門的につくろうとすると、私達薬膳師の出番なのですが、誰でもつくれるような簡単な薬膳をご紹介できたらと思っています。

陰陽五行の考え方

みなさんは健康って、どんなことだと思いますか?薬膳は中医学という哲学に基づいているのですが、その中医学には陰陽五行という言葉があって、この陰陽と五行のバランスがととのっていることなんです。う~ん、難しい?

簡単に言うと、ココロと体のバランスがととのっていること。病は気からと言いますが、まさに「気」は、気持ち。ココロです。ココロというと、自分の感情があるのですが、中医学では「七情」といって7つの感情をうまくコントロールしましょうとします。「怒り」「喜び」「思い」「悲しみ」「憂い」「恐れ」「驚き」これで7つ。一見、喜びはいい感情で、怒りは悪い?と思ってしまいがちですが、どれも人にとって大切な感情。時に、怒りも必要です。 だから、まずはそれらの感情を自分が感じても、罪悪感をもたないこと。バランスがとれていればよいんですよ。    

薬膳に使う身近な食材

さて、この感情のバランスをどうとっていくか。実は、食材が役に立ちます。テーマは、「気持ちをととのえる」なのでととのえるためにリラックスするとか、落ち着かせるとか、安心できるとかそんな気持ちにさせてくれる効能=「安神」の効能のある食材があります。

ホタテ、百合根、あさり、春菊、小麦(胚芽付)、アーモンド、いわし、なつめ、鶏卵、ジャスミンなど。精神不安や、不眠の改善にもいいと言われていて、日々ストレスの多い生活をしている私たちのお助け食材です。どれも身近な食材ではありませんか?

「気・血・水」の巡回

一方、体をととのえる。これは「気・血・水(津液)」と「五行」=「肝」「心」「脾」「肺」「腎」のバランスがとれていること。簡単に説明すると、気=元気が充実していること、血がきちんとつくられ、貯蔵できていること、水が足りていて、さらに水が体内をきれいに巡って、最終的には排出できていること。これが「気・血・水」です。

「五行」はそれぞれ臓腑(ぞうふ)に関係しているので、それぞれの器官がきちんと機能していること。これは感覚としてわかりやすいですね。体のバランスをとるのも、食材の役目です。

食べたもので体はできていると言われますが、まさにそのこと。食べることは、命をいただくことなので、生命力のある旬の食材をいただくことで、人は元気=健康に直結します。

さて、ここからが薬膳料理のお話です。先程お話しした「安神」効果のある食材を使った簡単レシピを2つご紹介します。

2. ココロをリラックスさせてぐっすり眠りたい人に

「百合根と黒米の炊き込みごはん」

百合根の白と、黒米のほんのり紫になったお米がきれいです。
材料は、これだけです!
◇米 2合
◇百合根 1個
◇黒米 大さじ2
1.米をといで黒米とあわせます
2.百合根のがくを1枚ずつはがして、よく洗います
3.1と2を一緒に炊くだけ

炊くときに、昆布を1枚のせるとか、少しだけお酒をいれるとなどしてもよいですが、私は、シンプルに炊くだけの方が好き。

百合根がほっこり甘くて本当においしいです。百合根には、ココロを落ち着かせる働きがあり、特に不眠によいと言われています。黒米は血をつくってくれます。不安になるときは血が足りないと考えられているので、そのための血を補ってくれます。しかも、黒米はもっちりしているので、ごはんもふっくらもっちり。

写真のようにおむすびにしても。本当においしいですよ。これからの季節、百合根は肺も潤してくれるので、風邪の予防にもぴったりです。毎日のごはんに、百合根を取り入れてみませんか?

3. 体をあたためて、ココロもほっこりしたい人に

 「ホタテのソテー たっぷりの薬味を海苔巻きにして」

ホタテはココロを落ち着かせてくれますし、免疫力アップやイライラした気持ちの緩和などの効果も期待できる食材です。作り方も簡単!

◇ホタテ 2個
◇茗荷 2個
◇青紫蘇 4-5枚
◇松の実 適量
◇大きな海苔 2枚
◇すだち 適量

1.ホタテを殻からはずしてバターでソテーします。この時に、松の実も一緒に火をいれてください
2.茗荷、青紫蘇は細かく刻みます
3.ホタテが焼き上がったら、大きな海苔の上にホタテをのせて、松の実、茗荷、青紫蘇を盛り付け、酢橘を絞っていただきます

ホタテにはココロを穏やかにする効能がありますが、他にプラスした食材にも意味があります。茗荷はお腹をあたため、紫蘇は寒さを飛ばします。そして松の実が肺を潤し、海苔が余分な水分を排出していきます。そう、これから乾燥して寒くなってくるときに、肺を養生して、ココロをととのえていく薬膳です。

血が足りないとか(貧血とはちょっと違うのですが)、お腹が冷えているなんていうときもココロが不安になりやすかったり。なので、ココロを落ち着かせるホタテだけでなくて、茗荷や紫蘇も追加することがおすすめです。

なにより、香り野菜はおいしいですよね。海苔のいい香りも。ココロをととのえるには、五感も大切。いい香り、おいしいこと、盛り付けも大事ですね。聴覚がない?焼いているときのじゅっ~という音も食欲をそそられますね。こう考えると、ココロと体はつながっていると思いませんか?(実際、本当につながっているという説もあります)。

顕在意識と潜在意識というココロを表す言葉があります。顕在意識は、自分の感情とつながっています。先程お話した「怒り」とか「喜び」とか。これはココロの10%を占めています。残りの90%は、実は潜在意識と言われています。潜在意識は、日々自分では気づきにくい気持ち。でも、それが本当のココロ。なかなかそこに気づかなかったり、向き合えなかったり。

でも、本当の自分のココロは気づいてほしいので、その気持ち=潜在意識の気持ちを、体の経絡に表現していると考えるのが私の考えるYakuzen retreat®(薬膳リトリート)です。

原因がわからないんだけれど、ここが痛いとか、ここにいつもしびれがあるとか、かゆいとか…。そんなときは、本当の自分が気づいてほしい気持ちかもしれませんよ。そして、その効能のある薬膳料理を食べて、ココロも体も健康になる。

ココロとカラダ、そして薬膳は健康のためのトライアングル。いかがでしたか?今日から小さな薬膳生活、始めてみませんか?

ココロが動くと、体が変わる「Yakuzen retreat®」主宰
ウェルネスライフ プロデューサー・薬膳料理研究家 小池 美枝

食医・薬膳料理研究家として、講師・料理教室・執筆活動・企業向けセミナーなどを手掛けている。さらに、レストランのメニュー開発コンサルティングやイベント企画運営といった活動も行っており、「食」に関して幅広く活躍。

※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません

提供元:株式会社アール・ド・ヴィーヴル

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