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奥湯河原を後にし訪れたのが、ここ下諏訪。旧中山道と甲州街道の
十字路に位置する宿場町。その町並みは、低い軒に格子戸など昔の面影をいまにとどめていて、特に夕暮れ時より出格子からもれる灯りには旅情をかきたてられるのである。その一角、諏訪大社の隣に立つのが今宵の宿「聴泉閣かめや」である。
チェックインの時間より30分程早く到着したのだが、フロントを尋ねてみるとそこには、愛知からセミナーで訪れていた大学生10数程がロビーで談笑中。宿の方といえば誰も居ないし返事もない。これには苦笑い。しばし車の中で待つことに。他2組程の宿泊客の方々も車の中で待機しておられる。私はこれくらいの事ではヘソを曲げる必要もないと思うのだが、嫁は爆発寸前(笑)。
待つこと約30分。定刻通り15:30分(笑)に宿の方が見えられ、お詫びのお言葉を頂戴した。色合いの良い外観になかなか趣きのある門をくぐれば石畳のアプローチが玄関先まで延びている。客室数10程の小規模な和風宿には、フロントロビーなど所々に華やぎを見せているものの、宿場町にふさわしい落ち着いた佇まいなのである。
通された客室は、新館2階「羽衣の間」。こちらではグレードの高い客室だそうで、なかなか洗練された室内なのだ。間取りは、踏み込みに2畳程の控えの間、本間10畳+副室3畳に広縁付き。檜の内風呂は温泉ではないものの、洗面スペースは広め、シャワートイレなど水廻りも好印象。外に目をやると左手には諏訪大社を眼下にでき、正面には市街地。まずはビールで一息つき、温泉へ。
源泉掛け流しの宿が多い下諏訪にあってこちらの宿は加温されているのだが、もちろん私に不満など全くない。男女ともに大浴場と露天を併設。どちらも石造りの小ぶりな浴槽なのだが、こちらにも清潔感+開放感がある。湯温は露天が少しぬるめだったけど私には適温。長めの入浴は快適だった。3階に位置するため展望風呂となるのだが、露天の前方には目貼りの竹垣を施してるため、腰を上げないと好願望とはいかない。それならばと浸かってても見えるよう、竹垣の隙間を広げ細工しているのもいい。夕朝にとあいにくの小雨。でも夜など町並みの灯りを眼下にでき少しは温泉情緒を味わえたかな。アメニティだけど、モルトンブラウンのような高級ブランド品じゃないけど一通りは揃っていたので怠りなし。
食事は朝夕ともに個室食事処にて戴いた。まず驚いたのがその室内。客室とは少々異なる佇まいなのだ。料亭風のしつらえには品があり広さも10畳程。客室としても十分使用出来そうだ。料理は地の素材を中心とした会席膳。こちらの宿には品書きはないのだが、一品一品丹精に調理されてる内容。土地自慢の鯉料理をはじめ、信州牛?飛騨牛?のステーキ。また、朝食で出されたしのだ巻きなども美味しく戴けた。(鮎が養殖だったのが残念)
この下諏訪での宿泊は2度目。こちらの宿へは初めてお伺いしたのだが満足できたのは事実かな。数年前、こちらの宿の前方、外観から全く趣きの異なる宿へ宿泊したのだが、どちらにもそれぞれ違った良さがあり、それを感じ取れたのも良かった。
短い滞在だったけど、担当の若い仲居さんをはじめ皆さんとても親切。いい距離感を保ちつつ静かにのんびりと過ごすことができた。伝統と格式に縛られていないような、何かほのぼのとしてた雰囲気が良かったのかな。帰り際、宿のご主人が何度も何度も頭を下げられお礼のお言葉を頂いたのが実に印象的だった。もちろんこちらも感謝。また機会があれば訪れたいと!!この良宿を後にし次の宿泊地へと向かった。(08,8月下旬 宿泊)
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