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「千と千尋の神隠し」に出てくる温泉テーマパークってすっごく楽しそうだったけど、あれがやや現実化した感じ。行けども行けども温泉浴槽。っていうかちょっと笑っちゃう。デカイにもほどがある。そして泉質が7種類もある。それがすごい。
女湯でいちばん大きい浴槽は中央にある「万病の湯」。透明で酸性の湯です。露天と寝湯が「美肌の湯」。酸性のちょっと変わった匂いのするグレーっぽい濁ったお湯。含硫黄(ナトリウム)硫酸塩泉。奥の全面ガラス窓に面して塩化物泉の大きな浴槽の「熱の湯」。その手前の檜風呂が「鬼の湯」。ここも塩化物泉だけどやたら熱い。露天の「美肌の湯」の横の階段を降りるとふたつ浴槽があって、そのいちばん奥に「金蔵の湯」があります。このお湯は唯一湯の花が舞っています。小さめの落葉松の湯船に、温度調節のため上の方から木の樋を伝ってお湯が注がれています。その他の浴槽は少しだけ加水されているそうですが、お湯の活きの良さはこの浴槽が抜群です。ただし湯船が小さいので常に混雑気味。
他にも歩行浴(まじめにやると効果あり)やジャグジー(これぬるくて気持ちいい)、サウナなどあり。カランにはもちろん柿渋シャンプーはじめさまざまなシャンプーセットがあります。外国人やツアー客、ひとりでじっくり浸かる人。ありとあらゆる人たちがあらゆる泉質のお湯に思い思いの入り方をしています。これぞ温泉天国です。
たぶん登別にはもっとお湯にこだわりを持っているところもあるでしょう。でもここの温泉テーマパーク的な発想は昭和初期からの筋金入り。昭和13年には総面積700坪、浴槽が30もある大浴場を完成させています。夢のような巨大木造建築の写真が残っているけど、あれを見ると今よりもずっと豪勢だったような気がします。鄙びた名湯もいいけれど、ここまでやってくれるとあっぱれ。日本人の心の中には夢の温泉天国があるんだな、としみじみ思いました。
※写真は男湯の「きずの湯」4人が参考にしています