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勝浦漁港の先、少々奥まったところの八幡神社側に位置する。さほどわかいりにくい場所でもなく、近隣の「脇の谷温泉」と比較すると余程わかりやすい場所にある。公衆浴場ゆえ当然小振りな建造物だが、脇の谷と比較すると俄然目を引く。観光客が手軽に勝浦の湯を堪能するには、ここがメインなのだろう。確かにここは公衆浴場と形容すべきもので、共同湯の雰囲気とはやや遠い。
とは申せ、山小屋風の外観と、木造の落ち着いた内部の造作、天井の扇風機等の鄙びた風情は、旅情を誘うものがある。
ここも自家源泉を保有し、地下500メートルから掘り当てた含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉はph8.4の弱アルカリ、湧出温度は46度で、浴槽と湧出場所が近いために浴槽の温度は他の勝浦温泉の施設の湯温と比較してやや高め。そのため夏場は加水することもあるとのこと。たとえ加水されたとしても、硫黄臭はしっかりと残り、他の施設と比較しても泉質に遜色ない。
浴槽は一つで、壁側の真ん中の位置あたりから静かに源泉がかけ流されている。当然のことながら、加水はあるにせよ、他には混じり気のない温泉であり、循環設備とも塩素消毒とも無縁。真っ当な温泉施設である。
気軽に勝浦の湯を楽しみたいなら最適だろう。価格も320円と安価であるし、泉質も温泉利用方法も優れもの。唯一の欠点は駐車場所に困ることと、夏場はやや熱すぎるくらいで、普通の観光客はもちろん温泉好きにも安心して勧められる施設である。
ただ、私の嗜好となると、ぬる湯を好み、共同湯然とした鄙び系に心惹かれる心性から、近隣の「脇の谷温泉」に軍配を上げたくなる。2人が参考にしています