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姥子温泉「秀明館」を紹介します。
姥子? と、あんまり聞いたことのない方は、首をひねられるかもしれません。たしかに強羅や宮ノ下と比べると一般的知名度に欠けるきらいはありますが、実は1720年---なんと享保5年から記録に残っている、由緒ある箱根の湯治場なのです。
地理的にいうなら、湯元から1号で宮ノ下まで登り、箱根湯ネッサンの分れ道を大涌谷方面へ---T字路に突きあたったなら、今度はそこを芦ノ湖方面に折れ、若干走行---すると左手に目立たない「秀明館」の看板が見えてきます。
門を入ると、「えっ?」となるくらいの静かさ。
アンビリーバブル・・・ここは・・・別天地か?
冗談ぬきに静かです。湯元と同じ箱根とはとても思えない。
あと、ここ、建物が非常にいいですね。基本的に湯治場、という形式をベースに造られてます。そう、箱根の地で現在湯治場をやっているのは、なんと、ここ「秀明館」だけなんです!
ここのオーナーは、湯元の「一休・天山」で有名な佐藤さん。
「姥子温泉では、採算のことより、湯守・堂守に徹します」とおっしゃっているそうです。
実際、ここは、いまのところ日帰り入浴しかやっていません。将来的には、泊まりを再開するつもりらしいのですが、いまのところは日帰りのみ。立ち寄り湯は、15時以降。朝からいる場合は部屋を借りねばならず、その料金が、和室なら2300円、洋室なら3000円。
高い! とお思いになるかもしれない。僕もそう思いました。でも、でもね、一端ここのお湯に入ったら、そんなケチな考えは吹っとびます! 保証つき!
ここは、箱根で唯一、自然涌出主体でやっている宿なんです!
ですから、お湯が、もー あまりに違う。
しめ縄をした大岩から溢れてくる透明なお湯の、それはそれは力強いこと! 僕、ブッ飛びました! 姥子には、むかし金太郎がここのお湯で眼病を治療した、という伝説があります。その故事を仲居さんに教わった僕が、金太郎よろしくお湯で目を洗ってみると・・・最初はやや痛い・・・でも、すぐあとには、も~ 視界が汚れ眼鏡を外したみたいにさーっとひらけて---なんか凄い! ちょっと信じられなかった。
ここの裏手には、江戸時代の墓石も混じった石仏がいっぱい並んだ、姥子堂があります。湯治のあいまの散歩のときにちょっと覗いてみるのも一興かと存じます。20人が参考にしています