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新神戸よりバスに揺られること約40分。六甲山の北麓に涌く歴史の古い名湯、ここ有馬。坂道や石段が無数に入りくむ温泉街は、狭い路地に飲食店やお洒落なカフェ、土産物店などが軒を並べている。そこには、浴衣でも気軽に散策できる外湯に幾つもの泉源など昔ながらの風情を残しており、新旧が入り混じる湯の町情緒は旅情をかきたててくれるのである。その温泉街より緩やかな坂道を歩くこと約5分。少し外れの山麓に緑の木々に覆われ、見え隠れするかのようにひっそりと立つのが今宵の宿「ねぎや陵楓閣」。その情景は雨上がりも手伝ってかしっとりとした風情を醸し出していた。
レトロな雰囲気が漂う館内は、私の描いてた昔ながらの温泉宿といった感じ。少々薄暗いロビーラウンジには、年季の入ったソファー。緋毛氈の敷かれた階段の脇にはスロープを設け、壁には将棋のタイトル戦の写真や棋士達のサインなどが飾られてある。また、本館より東、西館の延びている廊下は広々としており、浴場近くにフットケアコーナーを設けるなど、増改築を施しながら華美に走らないのもいい。それら古さも相まってか、落ち着きのある佇まいには、至る所に和風の趣きを感じ取ることができるのだ。一つ気になったのは宿泊代金が前金制だったこと。以前、夜逃げした客でもいたのだろうか!?ともあれ女性スタッフの方に案内され、客室前で待っておられた仲居さんにバトンタッチといった具合である。
通されたのは「春日」の間。8畳一間に広縁付きの室内は、間取り以上に広々と感じ至って閑静。眺めも街を眼下にまずまずといったとこかな。ただ、畳をはじめ棚やテーブルなど所々にキズ、片隅に置かれたエアコン、広縁のカーペットなど古さは否めない。水廻りだが玄関側にあるシャワートイレは好印象。洗面は広縁の隅に設けてあり、いかにも昔の造りらしい。お世辞にも洗練された清々しいしつらえとはいかないのだが、床の間に置かれた生け花には小さな季節感があり、殺風景な室内にあってキラリと光るものがあるのだ(笑)前日、京都にて宿泊した、とある片泊まりの宿と似通ってたということもあってか、妙に落ち着け寛げたのも事実。まずは茶菓子のもてなしをうけ、夕食の品書きを早々と頂いたのである。
温泉は入れ替え制の大浴場+露天付きが2ヵ所。その一つ「ひぐらしの湯」がいい。廊下より館外へ出て、自然に溶け込んだアプローチを登り詰めた所に造られており、内湯(白湯)は梁をアクセントに天井が高く開放感がある。タイルや浴槽など昔ながらの造りだが、清潔感に趣きもあり、少し温めの湯に浸かりながら旅の疲れを癒すのだ。屋外には地形を上手く利用し、ここにも自然を取り入れてる露天(金泉)があり内湯より少し熱めの湯。竹を上手く施してる東屋に竹垣などの演出もなかなか。風情豊かな環境での入り心地は上々なのだ。アメニティは一応揃ってるが、大浴場にタオルがあれば尚更良かったのだが。
客室にて戴いた夕食は、山海の幸、地の素材を使ったスタンダードタイプの会席膳。特筆すべき一品はないのだが、味付けは無難、量的にも程よく私の口に合う。敷いてあげれば神戸牛を使った一品には工夫がなされ、鮪のつけ茶漬けなども美味しく戴けた。朝食は食事処「らくよう」にて。ごく普通の内容、量的には私に多目だったかな。
車以外で訪れたのは初めての有馬。宿泊は7,8度目になるかなあ。この宿には初めてお世話になったのだが、とても居心地が良く、寛ぎの空間を提供してくれたのである。スタッフの方々の笑顔での対応、老朽化の目立つ館内をカバーしてるかのようにまずまず行き届いてた清掃など基本でもあるもてなしは素晴らしい。そして何より閑静な環境であること、アウト12:00というのも嬉しい限り。もちろん湯にも食にも私なりには合格点。良い意味、期待を裏切られた宿でもあったかな。
この有馬ではリーズナブルな宿泊料金を設定しているというのもあると思うが、平日にもかかわらず本館(17室)は、個人客のみでほぼ満室だったと思う。久々訪れ思ったことは、近場の関西地方にも良い温泉宿があるということ。いつになるか分からないけど再訪時には、やはり車にしようと思った旅、有馬の良宿であった。(08,6月中旬 宿泊)0人が参考にしています