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投稿日:2011年10月16日
美しき碧き硫黄泉 (金太郎温泉 カルナの館)
湯けむり天使さん [入浴日: 2011年9月15日 / 2時間以内]
44.0点
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55.0点
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金太郎温泉がある富山県魚津市は新潟県境に近く、関西人からは相当遠方のイメージがあるが、高速道路を利用するので意外なほど便利な場所にある。「金太郎温泉」にせよ「カルナの館」にせよ、このあまりにもベタなネーミングのせいでやたらインパクトが大きく、また施設もコテコテの大規模豪華絢爛系統。このような立派系施設は見かけ倒れに終わる場合が大半なのだが、ここは予想に反して肝心の温泉が優れもの、健康増進を希求する創業者のこだわりか、源泉の良さを損なうことなく温泉を提供する良心的温泉施設であり、泉質重視派の身にも大変満足のゆく温泉であった。
宿泊ではなく日帰り利用であれば、「カルナの館」という名称の宿泊施設と隣接する日帰り大規模施設での入浴となる。
かなりの立派系施設であるため内湯も露店風呂もすこぶる広く、全国から集められた巨石を立山連邦をイメージして組み上げた巨石群が目を引く雄大な内湯には、長方形の大型浴槽のみならず、ジャグジー、エステバス、寝湯等の機能バスに加え、歩行湯まである。それらすべての浴槽に白濁した硫黄泉が潤沢にかけ流されているのである。
「健康道場」とネーミングされた、源泉の新鮮さを最も残している小さめの浴槽で飲泉も可能である。私が最も湯が新鮮であろうと感じたこの浴槽の壁には、効果的な入浴方法などが記載された掲示があり、純粋湯治用浴槽であるというのも好ましい。豪華な巨石群等のイメージ創出にはまったく興味がない私も、源泉を純粋にかけ流す湯治目的の浴槽をきっちり作ってあるところには好感した。温泉は源泉の良さと利用法がすべてであるから。ただ、この浴槽は夏場には少々熱く感じられるので、露天風呂の小さな浴槽などに浸かるのが寧ろ快適ではある。
飲泉してみると、意外なほど塩辛い。それもそのはずで、源泉の表記は「含硫黄ーナトリウム・カルシウムー塩化物温泉」とある。名前だけの塩化物温泉ではなしにここでは文字通りの塩化物温泉で、香しい硫化水素臭と塩辛い温泉のコラボは全国でも珍しく、山の湯である硫黄泉に富山湾近くの塩化物泉が加わった個性的温泉となっている。
露天エリアの大小二つの浴槽も微妙に湯の色合いが異なる。大浴槽は源泉を下から注入しており色合いは白色濁り半透明、一方小浴槽の方は大浴槽から流入した湯が多いためか若干の酸化が進行し白濁色が濃い。白濁に加えて碧さも加わり、まさに美しき碧き硫黄泉の様相を呈する。透明の源泉が注入されている岩の近辺に陣取り温い湯にゆっくりと浸かると快適極まりなく、私の訪問時が九月中頃の未だ暑さが残る時分であったので、露天での小浴槽は殊に気持ちの良いものであった。
良泉であるという事前情報は得ていたが、予想以上の個性的泉質と湯遣いに感激した。泉質だけでも温泉好きを満足させ得る実力派だ。個人的にはこのような優れた湯を純粋に小さな湯舟にかけ流した共同湯全とした安価なジモ専施設などが最も好ましいのであるが、綺麗な設備が不可欠と認識する方々にもお奨めできる、万人受けする温泉施設であると思う。
野暮なことをあえて言うならば、浴室に立山連邦のイメージなど要らないから、そのあたりの無駄と思しきコストを低価格化に繋げて欲しいというのが本音だ。これだけの内容ある温泉に入浴料700円は高いとは思わないが、1時間までという限定が残念。私ははしご湯目的の旅先での利用だったので1時間で充分だったが、ここだけの入浴であるならば1時間というのはいかにも勿体ない。寧ろ3時間1000円という選択の方がコストパフォーマンスが高いように思われる。
このような悩ましき価格体系がやや残念であるが、素晴らしい温泉であることに疑問の余地はない。54人が参考にしています
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