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湯船の下からダイレクトに湧く砂湯を楽しみに、昨年末訪れた。施設面では、特筆すべきものはないが、不潔だったり古ぼけていたりということもなく、普通だった。ただ、ちょうど宿泊した部屋が笹沢佐保氏が投宿した部屋ということで、ちょっといい気分。だからなんだと言われたら、それまで。まあ、文豪気分で写真なぞ撮った。中庭には、斎藤茂吉の句碑もあった。庭には鯉のエサもおいてあり、人間の足音を聞くと我先に集まってくるよだ。湯布院の近隣湖近くの鯉を思い出した。
さて、お湯。無色透明のさらりとしたきれいな湯だった。家内は少しとろみを感じたと言っていたが、私にはわからなかった。しかし、やけに透明度が高く美しい湯であった。(下から湧いているという先入観からかもしれないが。)敷いてある砂も気持ちよく、さいわい空いており、静かに浸かれた。聞いていたとおりのぬる湯で、いつまでも浸かっていられる。(厳冬期はちとぬるすぎるかも。)特別広くも、豪華でもない大浴場なのだが(広さから言ったら、中浴場?)、なんか厳粛な気持ちで浸かれる雰囲気があった。
入っている人が皆、一言も話すことなく、ひたすらに湯に浸かっていたのが印象的。私は、どこから湯が湧いてるんだろうかとか、あちこちゴソゴソしたかったのだが、そういうミーハーな行動を取るのがはばかられるような雰囲気があった。ただし、それも悪くはなく、私もひたすらに美しい湯に浸かったのだった。11人が参考にしています