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蔦温泉の本領は本館での宿泊だと思っているので、今回も連泊した。前回と同じ22号室というのは偶然だろうが、戻ってきたなぁという感じが高まる。梅雨時期の平日に宿泊したので非常に空いていて、大浴場を3度にわたって独占することができた。古遠部ですっかり味をしめたトド湯も実践。やや温めの新鮮で素直な湯をたっぷりと楽しんだ。
宿を囲む森も静謐なままで変わりがなかった。朝の霧のひんやりとした質感、森の生き物の鳴き声が反響する林間、しんと静まり返った沼の水面・・・自然のみが生み出せる安息感に包まれる。
食事も理にかなった美味しいものばかりだった。軍鶏ロックのソテーはバターを利かせたリンゴのソースがとてもよく合う。フレンチで脂っこさを矯めるのにフルーツを使うが、これを踏まえて土地の食材を生かしているから大変旨い。岩魚も塩焼きではなく白身を生かして南蛮漬け風に仕上げるなど気が利いている。海鮮鍋にはキンキが、朝ご飯には筋子やミズの煮物があるあたりも土地を感じさせいたく満足。
また、はつらつとしていて気の回る仲居さん達の存在も大きい。庭先にタヌキを見つけるとすかさず餌づけ用の魚を用意してくれたり、蛍が見えたといっては夜番の仲居さん総出で案内してくれた。土産を持ち帰るのに保冷剤を凍らせておいてほしいといえば嫌な顔一つせずすぐ対応してくれる。前回の時も感じたが、この「八甲田の良心」というべき皆さんの気働きのお陰で、滞在が層倍にも印象深くなる。いつまでもこの素晴らしい温泉が続いていくことを願うばかりだ。4人が参考にしています