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08' 9月17日の水曜日、山口の長門湯本温泉で一泊したイーダちゃんは「恩湯」での早朝湯浴みのあと早々に宿をたち、JR美祢線から山陰本線に乗り継ぎ、最後の目的地、島根の有福温泉を目指しておりました。
山口は雲ひとつない上天気でしたが、列車が島根入りするやいなや、雲、急に増えはじめましたねえ。
浜田駅で降りて、バスで35分。山中の田舎道を延々いくと、ようやく有福温泉に到着です。
濃ゆい緑と蝉の声。有福温泉は超田舎。それまでの二日間海沿い川沿いの町ばかり旅してたんで、山深い有福の里は、なんか新鮮な感じでした。
ただ、暑いです、ここ。えらい蒸し暑い。ついそこまで迫ってきてる台風13号の影響でせうか。ちょっと耐え難いくらいの蒸し暑さが、その日の午後の有福の里を覆っておりました。
「うわあ。こりゃたまらんなあ」なんて愚痴りながらの宿探し。
「たじまや旅館」さんが素泊まりを受けてくれることになったので、イーダちゃんはそこの部屋に荷物を置き、温泉巡礼へまたもや出発するのでありました。
山陰の伊香保といわれている有福温泉は、わあ、まず色合いが素敵な町でした。なんていうんでせう、階段・石段が連なっている、伊香保をずーっと小規模にしたみたいな町なんですけど、数少ない旅館がみーんな古風な落ち着いた姿を保ってて、しかも、落ち着いた雰囲気なんですよ。どこを撮っても自然といい絵になっちゃう、みたいなふしぎな安定感。ええ、歴史の味わい、風情については満点の町でしたね。
ただね、繰り返すようですが、こちら、暑かった。あと、虫ね。蚊の数がハンパない。僕はそれほど刺されるタイプじゃないんですが、この日はもう嘘みたいに刺された刺された、超痒い、これはたまりませんでした。
ですが、そーした蚊の襲来ショックにもめげず、イーダちゃんは午後2:20、こちらの町の顔・共同湯の「御前湯」を訪れました。
いやはや、噂通り、これは素晴らしい威容です。
角度的に非常に撮りにくかったけど、写真、撮りまくっちゃいました。(niftyの御前湯の冒頭写真はそのときの僕の撮影デス)中に入るとまた渋い。番台(木のまーるいBOX売店を番台といっていいのなら)のオバちゃんにお金を払って、クラッシックな着換処へスムーズ・イン。ありゃ、だーれも先客いない。ワクワクしながら服を脱いで、風呂への扉を開けますと、
おお、なんちゅー渋い佇まいのお風呂でせうか。
六角形っぽい、大きな湯舟です。中央にある石の塊から源泉がトトトトト。周りの窓は大正浪漫のロマネスク造。ちょっと群馬の四万温泉の積善館に似た感じです。窓が多いから曇り気味なのに風呂場が明るいこと。
掛け湯して入ると、うわ、あちっ! 結構アチチの湯のようですな。さらに深く肩まで浸かると、ああ、なかなかいいお湯だ。
じーんと全身があったまる。硫黄臭はなし。塩っぽさもそう感じられません。それらの特徴の代わりに僕が感じたのは、地下に長いこといたお湯だけが知っている、一種鉱物的な肌触りでありました。飲泉すると、かすかーな苦味あり。
分類は単純泉のようですが、硫黄っぽくも塩っぽくもないので、最初はちと戸惑っちゃったことをここに正直に告白しておきます。僕が本当の意味でここのお湯の真価を知ったのは、なんと、ここの浴後のことでした。身体を乾かして、汗がだんだん引くにつれ、想像を超えるサッパリサラサラ感がイーダちゃんを包んできたんです。なんちゅー気持ちよさでせう! これにはマジびっくりしました(^o~:>
なーるほど、噂通りの名湯だわ、とひとつ、ほくそえみ。
夕刻には有福大仏を見物し、もういちど、今度はジモティーいっぱいのなかでのアチチの湯浴み。湯浴みのあとには柿本人麿万葉道の石畳をぷらぷら歩いて、御前湯のすぐ上のところにある薬師堂を訪ねてみたり、万葉道をそろそろと下って下の落合商店でアイスキャンディを買い求めてみたり・・・。
気分次第で選べるコースは色々です(^・^)
有福温泉はあまり目立たない、ちっちゃな温泉町です。ですが、この温泉地に詰め込まれた情緒の量は相当モンです。もしかしたら、四万や草津とも張れるパワーを内臓しているのかもしれません。なによりここはお湯が素晴らしい。「たじまや旅館」さんで一泊した翌日に訪れたこちらでの朝湯は、唖然とするほど素晴らしいものでした(^.^;>8人が参考にしています