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建物の外観からして、何とも言えない味わい。湯治場の風情を余すことなく醸し出している。
フロント前を過ぎると、ニホンカモシカのはく製がお出迎え。天然記念物だけに、はく製にするのに特別の許可をもらったとか。
総ヒバ作りの千人風呂は、見事としか言いようがない。白濁した湯をとうとうと湛える浴槽に、情緒豊かな浴舎。昔ながらの良さを満喫できる。塩素投入とか、循環とかという言葉が別世界のもののようだ。
昔ながらの混浴だが、若干のルールがある。浴槽の真ん中に国境ラインのような目印が立っていて、女性・男性それぞれの陣地が決まっている。国境ラインを超えて異性の陣地に侵入してはならない。つまり、浴槽のはじっこで入浴していれば、異性との距離はかなり保つことができるようになっている。
旅館は、マナーの啓発を怠っていない。
豊かな自然と豊かな温泉を存分に享受し、昔ながらの浴舎で入浴する人間。
これこそ、日本の湯治文化の最高峰ではないだろうか。
青森駅からJRバス十和田北線に乗り、八甲田山を眺め、「三杯飲めば死ぬまで生きる」菅野茶屋を通って約1時間10分で酸ヶ湯に着く。このバス路線は、酸ヶ湯を過ぎた後、奥入瀬・十和田湖に行く日本屈指の景勝ルートだ。途中下車を楽しみながら歩こう。青森~十和田湖間2日間乗り放題で4,600円のフリーきっぷがお得(平成17年情報)。本数が少ないので最終バスに乗り遅れないようご注意を。2人が参考にしています