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投稿日:2011年11月17日
鷺沼温泉 (鷺沼温泉(閉館しました))
paw_pawさん [入浴日: 2011年11月17日 / 2時間以内]
55.0点
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銭湯界の秘湯として知る人ぞ知る千葉県習志野市ある銭湯施設です。国道14号線に面した細い路地の奥に建っています。津田沼駅から徒歩15分くらい、車だと市川方面から津田沼1丁目交差点を過ぎてすぐ右側になります。同交差点の報道脇に詰めれば3台くらい止められそうな専用駐車場も完備。
手造り感丸出しの看板が置かれた細い路地を進んで行くと男女別の入り口があり銭湯組合統一料金420円を支払い、脱衣所スペースへ。ロッカーはなく籐籠に脱いだ服を入れるシステムです。脱衣所の天井は格天井(ごうてんじょう)に仕上げられ、伝統的な銭湯スタイル。棚には常連さんのお風呂セットや手拭いがズラリとキープされ、ただ者ではない雰囲気を醸しだしています。なかには台所シンクの三角コーナーを入れ物にしている強者もいらっしゃいました。
浴室は手前が洗い場、奥に二分割された浴槽が鎮座する銭湯スタンダード。男女の仕切壁には手前から忠臣蔵の舞台の1シーン、松に鶴がとまって翼を広げているお目出度い図案、滝つぼで水を汲んでいる場面など計3枚のタイル絵が貼られており、一目見て相当な年代ものであることが分かります。滝つぼの絵は親孝行の息子が病弱な老父のために汲んだという霊水、養老の瀧をモチーフにしたものではないでしょうか。
そして圧巻は浴槽上に張られた横長のタイル絵で、蓮の花が咲く水辺でゆったりと泳ぐ鯉が描かれており、素晴らしいの一言です。タイル絵は全て鈴栄堂製作の九谷焼で、70年以上通っているという常連さんのお話では創業当時からのものだそうです。鯉のタイル絵にはスポンサーとなった個人医院の名前と電話番号が入っていますが、その番号はなんと二桁です。さらに浴槽側の壁には銭湯のお約束、富士山のペンキ絵もしっかり描かれています。
肝心の湯は、いわゆる黒湯で、コーラとコーヒーの中間のような色をしています。源泉は低温のため加温のうえ利用されていますが、その加温が半端ではありません。向かって左側が熱湯で温度計で48度を計測し、右側の温湯でも体感44度強あり、総じて熱湯の設定になっています。湯揉み板まで備え付けてあり、如何に高温かを物語っています。
浴槽の蛇口からは加温されていない源泉もでますが、他に入浴している方がいらっしゃる時には、アンタッチャブルな雰囲気があり、湯温を下げてはならないという暗黙の掟が存在しています。どうしても熱くて仕方のないときは、きちんと断ってから蛇口を捻りましょう。
湯温もあってか、ジンジンと迫ってくるような湯力で、キューっと体が締まるような浴感があります。何度か通っていると結構クセになる気持ち良さで、定期的に訪問するようになりました。源泉を口に含むと無味無臭ながら、なんとなく鉱物的な粉っぽさと微弱な苦味を感じました。入浴客の皆さんはご近所の中高年を中心とした常連さんで、湯温もあってか、今のところお子さんは一度も見かけたことがありません。
創業は昭和8年、当時からの姿をほとんど変えることなく現在でも営業を続けていること自体奇跡という他なく、さらには加温ながらも源泉に浸かれるというのですから、もう文句なしです。銭湯文化財と言っても良いでしょう。いつまでも、この貴重な温泉文化を後世に伝えてほしいと思います。
余談ですが、現在放映中のドラマ、「南極大陸」のロケ地となり、第一話で木村拓哉さんと緒方直人さんが入浴しているシーンにも使われました。キムタクも入ったプレミア銭湯、恐るべしです。15人が参考にしています
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