現在位置: 温泉トップ > 温泉を楽しむための豆知識 > 温泉を楽しむための豆知識 基礎知識編
- 温泉はどうして効能があるのでしょうか?
- 「もちろん効能成分があるから」と考えがちですが、これ以外にも色々な要素が影響しあって効能を発揮するのです。 温泉の物理効果をおおまかに分類すると
- 1、温熱効果 2、水圧効果 3、浮力効果 4、転地効果(心理効果)・・・など
- 自宅での入浴でも下記の物理効果などにより効能がありますが、温泉の薬理効果、転地効果など更に要素が加わると「複雑系」により更なる効能を発揮します。
- 「とにかく温泉は効く!」と思って利用した方がいいようです。
入浴効果
温泉の物理効果とは?
- 大きくわけて1、温熱効果 2、水圧効果と 3、浮力効果があります。
- 1、温熱効果
- あたたかい温泉で血行がよくなることにより多くの効能が得られます。
体が温まることにより血管(特に抹消血管)が広がり新陳代謝が高まり、体内の不要物の排泄を促すのです。
例を挙げると、疲労回復は、疲労物質「乳酸」が排出されるための効果です。 - また、泉温別特長として、熱い温泉(42℃以上)は、緊張、興奮の自律神経「交感神経」が優位に立ち、しっかりと目が覚めた状態となります。
一方、ぬるめの泉温(37-40℃)の温泉は、気持ちを鎮める働きをするリラックスの自律神経「副交感神経」が優位に立ち、落ち着いた気分になります。 - なお、日本人がもっとも気持ちの良いと感じる泉温は「42℃」です。
- 気温よりはるかに高いお湯が体に負担をかけるものの、気持ち良さからくるリフレッシュ効果が望めます。
- 2、水圧効果
- 体表面にかかる静水圧により全身に圧力がかかり、内臓が刺激され、内臓運動となります。
つまり、天然マッサージの状態です。
脚には全血液量の約三分の一が集まり、この血液が心臓に送り返されるため「脚は第二の心臓」と言われることがあります。 - この脚の血液は、陸上では、重力が邪魔をして血液が心臓まで上がりにくくなります。
ところが、入浴すると、水圧で血管が細くなり、血液が心臓に向かって押し上げられます(ポンプアップ効果)。
その結果、下肢の静脈の流れが良くなり、血液やリンパ液の循環も活発になっていくのです。 - なお、全身浴ではこの水圧により心臓への負担が大きいのですが、半身浴や足浴では静水圧が減少するので、心臓への負担が少なくなります。
お湯に肩までつかった時、体の表面積全体では、なんと500キログラムから1トンもの水圧がかかる計算になるのです。
- 3、浮力効果
- 温泉に首まで浸かると、体重は約十分の一になり、体を自由に動かせるようになります。 体が軽くなった感覚により筋肉が緩み、脳波が「α波」のリラックスした状態になりやすいようです。
- また、体の各部分を早く動かすと、水の抵抗力が加わり筋力の強化になります。
これを利用して筋力の弱った人や運動機能の低下した人のリハビリテーションにも利用されます。
転地効果(心理効果)とは?
- 日常生活を離れ、環境に恵まれた温泉地に行くことにより得られる効果のことです。
- 自律神経の中枢のスイッチがONに!
- 日常生活を離れ、環境に恵まれた温泉地に行くことにより五感に刺激を受けると、脳内のホルモンを調節する内分泌系や呼吸、消化といった生命維持活動をつかさどる自律神経の中枢のスイッチが入ります。
- そこで、ストレスを解消し、精神疲労や病気に効果を発揮するのです。
「澄んだおいしい空気」「森林浴によるリラックス」「避暑によるさわやかさ」など、自然環境に恵まれた温泉地ならではの効果が期待できます。 - 転地効果は、5、6日で活発になり、1ヶ月を過ぎると薄れます。
- もちろん1泊2日でも転地効果、免疫力向上効果は得られますが、できれば「滞在」をお勧めいたします。
- 「海の温泉地」「高原・山の温泉地」といったように環境を変えて温泉めぐりをするのも効果的です。
山・高原の温泉では、涼しさと適度な標高による「転地効果」が得られます。 涼しさが気持ち良さ(リラックス)を300-800mの森林の多い高原地帯がよいといわれています。 - 海の温泉も転地効果が高いです。
生命は、海から生れてきたので、海を見ているだけでも癒されるのでしょう。
温泉の薬理効果とは?
- 温泉の成分を皮膚から吸収することにより得られる効果です。
もちろん、効能成分(泉質)により、効果は異なります。-
温泉には、「療養泉」と認定されたものがあります。
単純泉以外の泉質の温泉には「泉質別適応症」という効能が認められていますが、単純泉にもほとんどが「一般適応症」という温泉に共通した効能が認められています。 -
下記のように浴用そのものによる効果(温熱効果)と薬理効果が期待できます。
「単純泉」による効能はこの「一般適応症」にあたります。
- A.一般適応症(入浴による効能)
- 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、健康増進
- B.泉質別適応症
-
温泉には、「療養泉」と認定されたものがあります。
泉質 | 入浴による効能 | 飲泉による効能 |
---|---|---|
単純泉 | 上記一般適応症 | ---- |
塩化物泉 | 切り傷、火傷、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病 | 慢性消化器病、慢性便秘 |
炭酸水素塩泉 | 切り傷、火傷、慢性皮膚病 | 慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病 |
硫酸塩泉 | 動脈硬化症、切り傷、火傷、慢性皮膚病 | 慢性胆のう炎、胆石症、慢性便秘、肥満症、糖尿病、痛風 |
二酸化炭素泉 | 高血圧症、動脈硬化症、切り傷、火傷 | 慢性消化器病、慢性便秘 |
含鉄泉 | 月経障害 | 貧血 |
硫黄泉 | 慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷、糖尿病(硫化水素型)、高血圧症、動脈硬化症 | 糖尿病、痛風、便秘 |
酸性泉 | 慢性皮膚病 | 慢性消化器病 |
放射能泉 | 痛風、動脈硬化症、高血圧症、慢性胆のう炎、胆石症、慢性皮膚病、慢性婦人病 | 痛風、慢性消化器病、慢性胆のう炎、胆石症、神経痛、筋肉痛、関節痛 |
泉温による自律神経のはたらきの違いとは?
- 泉温により、「交感神経」と「副交感神経」いずれかが優位に立たちます。
- 交感神経優位の泉温 高温泉(42-45℃)
- 副交感神経優位の泉温 温浴、微温浴(37-40℃)
- 自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。
「交感神経」は心臓などの動きを活発にさせる「動」の神経で、体を「緊張」「興奮」させます。
「副交感神経」は、緊張、興奮を抑える「静」の神経で、体を「リラックス」させます。 - 泉温により、いずれかが優位に立つので、目的に応じて入浴法を変えたいものです。
- 一般的な目安として、42℃程度は気持ち良い温度ですが、交感神経を刺激し、緊張をもたらし、38℃程度は、ぬるく感じますが、副交感神経を刺激し、リラックスをもたらすと考えるとわかりやすいです。
- また、イメージとして、自律神経のうち、熱い湯では交感神経のスイッチが入り、ぬるい湯では副交感神経のスイッチが入ると考えればわかりやすいです。
- 水温と自律神経(交感神経、副交感神経)のはたらきの関係が、入浴目的に応じた入浴法のポイントとなってきます。
- 一般的に、各温泉地の風呂は、もっとも気持ちのよいと言われる42℃に設定されていることが多いです。「高温浴」にて「活力」を得てお帰りください。
- 湯治が目的でしたら、「高温浴」を「半身浴」にておこなったり、ぬるめの温泉のある温泉地へお出かけください。
入浴による消費カロリーはどれくらい?
- 入浴での消費量は意外に大きいのです。入浴のみによるダイエットは、好ましくありませんが、入浴と運動を組み合わせると、効果的なダイエットが期待できます。
- 各運動で80kcalを消費するのに必要な時間
- 入浴:10分
- 水泳、テニス:15分
- ジョギング:20分
- 階段の上り下り:25分
- ラジオ体操:30分
- 雑巾掛け:30分
- ゴルフ:35分
- 自転車:40分
- 歩く:50分
- 炊事:100分
- 1日の消費カロリーは、年齢、性別、体型などによって異なりますが、成人の平均的なエネルギー所要量は、1,600-2,000kcalです。減量をしたいなら、食べる分のエネルギーを所要エネルギーより抑えればよいのです。
ただし、急激な減量は健康を害する恐れがあるので、1ヶ月で1-2キロ体重を落とす程度にとどめたいものです。※太りにくい体質をつくるには、毎日300kcalの運動をするとよいと言われます。 - もっとも、ストレス解消のための温泉旅行では、熱いお湯に「ウー!極楽!極楽!」など言ってつかり、宴会でお酒を楽しみ、豪華な料理を食べるのもよいでしょう。
ただし、酔っての入浴をしないなど、注意も必要です。
入浴による「発汗」の効果とは?
- 入浴は、体の老廃物を排泄させやすくするので、正しい入浴法を覚えれば、「万病予防」につながります。
- 手っ取り早く、日常おこなっている入浴により汗をかきましょう。
- 1、汗でなければ排出できない老廃物(水銀をはじめとした金属系の物質)の排出
- 2、入浴による温熱効果で腎臓の機能が高まり、利尿が促進
- 現代人は、運動不足、クーラーの使用などにより汗をかきにくくなり、汗腺の機能が低下している傾向にあります。
発汗は大切なことですので、運動により汗をかく習慣をつくりたいものですが、いざ実践となると難しいものです。 - 体には、汗でなければ排出できない老廃物もあります。
水銀をはじめとした金属系の物質などがそれにあたります。
金属系の物質が体内に蓄積すると、頭がボーっとして判断力が低下する、キレやすいなど、体に有害で現代人にありがちな数々の症状があらわれます。
一方、ミネラルなどあまり汗と一緒に排出させたくない物質もあります。
汗と一緒にミネラルが排出してしまうのも汗腺の退化の影響です。
また、入浴による温熱効果で腎臓の機能が高まり、利尿が促進されます。 - そこで、下記のような習慣をつくりましょう。
- 入浴との相乗効果がある水分補給の習慣
- 1、長湯ができ、発汗を促進する「分割浴」「半身浴」などの入浴法を身につけましょう。
- 2、食物以外からも水分を摂りましょう。
- 水分摂取の目安は、1日1.5-2リットルです。
ポイントとして、入浴前後、睡眠前後をはじめ、喉が渇く前に、適量の(1回につき150cc程度)の水を摂るようにしましょう。