「星野リゾート　界」健康温泉の秘密をさぐる！

歴史から見た健康と温泉の関係を教えてください。

昔は、医者とか病院はありませんでした。だから温泉が病気を治すものと考えられていました。
奈良時代に書かれた『出雲国風土記』(733年頃)にもこう記されています。
「一たび濯げば形容端正しく、再び浴すれば万の病悉に除こる。
　古より今に至るまで験を得ずといふことなし。
　故、俗人、「神湯（かみゆ）」といふなり」
現代語に直すと
「一度温泉に入れば、容姿端麗になり、
　もう一度温泉に入れば、どんな病気も治してしまう。
　これを人々は、神の湯と呼んでいる」
となります。
我々の先人は、1300年前から
「温泉で美しくなる、病気が治る。疲れが取れ、癒される、美肌になる。」
と、温泉の本質を言い当てていたのです。
長い温泉の歴史こそが、温泉が健康に良いという1つの証明だと考えているのです。

現代科学から見た健康と温泉の関係を教えてください。

現代医学がこれほど発達しても、我々人間は精神的な生き物でほとんどの病気がストレスから始まります。
その中でも老化やガンといった病気の原因は、「活性酸素」による酸化ストレスであると言われています。
活性酸素による影響で、細胞がサビ付いてしまう、つまり「酸化」してしまうのです。
そこで、酸化の対策として登場するのが温泉です。
温泉自体に「還元」する力、つまりサビを除く力を持っているので、活性酸素による酸化から身体を守ってくれるのです。
最も還元力のある温泉は、「源泉かけ流し」で「湯量が多い」温泉といってもいいでしょう。

更に我々人間は身体を温めることで増えるＨＳＰ（ヒートショックプロテイン）というタンパク質を持っています。
このＨＳＰには活性酸素が傷つけた細胞を修復する効果があるのです。
つまり、温泉に入ると「温泉のもつ還元力」と「自身のもつＨＳＰ」により健康になると言えるのです。
温泉は、人間が本来持っている自然治癒力を引き出してくれるのです。

健康に良い「温泉」の入浴方法があれば教えてください。

温泉の効果を実感するには年に2、3回の連泊をし、たっぷり温泉に浸かり「非日常」を味わうのが良いです。
少しでも長くいられるためにチェックアウトが遅い昼ごろまでにいられる温泉旅館を選ぶのがおすすめです。

健康に良い「自宅」での入浴法があれば教えてください。

自宅に限ったことではないですが、しっかりお湯に浸かり体温を上げることが重要であると考えています。
シャワーだけで済ませてしまうのはよくありません。
お湯に浸からないと血がめぐらなくなってしまい低体温化につながるからです。つまり代謝が促進されません。
体温が落ちると免疫力が低下して病気がちになってしまう危険があるのです。
同じように、体温が下がってしまうという理由で、「お風呂からあがった直後には、冷たいものは飲まず、常温か温かいものを飲む」ことが良いですね。

我々人間は、昔から温泉や入浴の本質を既に汲み取っていたんです。
それにもかかわらず、生活様式の変化から伝統的な湯治文化や昔ながらの日本人の知恵が失われてしまっているのが現状なのです。

「健康になる」ということは、自然な水や食べ物を食べ、自然な時間をゆっくりと過ごすということであり、それには「温泉」へ行くことが最適なのです。