後を継ぐ者は大変だ。ほぼ間違いなく先代と比較される。
たとえば、まわりの人はこういうだろう。
「あの2代目は、どうもパッとしないねぇ」
この「パッとしない」というのは、もちろん先代と比べてのことである。
さらに付け足して、「あの顔がよくないのよ」ともいう。
そんなこと言われても困るが、言い返すわけにもいかない。
それで鏡に映った自分の顔を見て、「よくないのか、オレ・・・」などとつぶやくのだ。
では逆に、後を継ぐ者が優秀だった場合は、どう言われるのだろう。
「立派に責任を果たしているねぇ」
ここから知ることができるのは、後を継ぐ者は、なかなか先代以上の評価を得られないと
いうことだ。もちろん、そうでない場合もあるだろう。
しかし、当然のことながら、先代は後を継がせるだけの「何か」を残しているのであり、
その点において分がある。
後を継ぐ者の悲劇はそこにあり、先代を超えるには、先代以上の「何か」を成し遂げなけ
ればならない。歴史を紐とけば、江戸幕府の2代目・秀忠は悲劇の極みで、なにしろ先代
が家康である。比較するほうがいけないのだが、こういう場合、まわりの反応はもっと厳
しくて、「そもそも嫌いなのよ、アイツ」なんて言われたりもする。
ちなみに秀忠は「親孝行」&「家康に従順」な人だったようだ。
というわけで、今回は温泉宿を継ぐ者の話である。
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