ふふふ、ふふふふ・・・。ついに川が開いたぜ。うっしっし・・・。
釣り師である僕にとっては、思わず緩む頬の筋肉を止めることができない季節である。
渓流釣りをやらない人には何のことか全然分からないだろうが、川の釣りには禁漁期間というものがあるのだ。それぞれの川によって違うのだが、おおむね最も早い川で2月1日、通常で3月上旬から中旬のころに鱒類(ヤマメやイワナなど)の解禁を迎えるのである。そして鱒類の禁漁はだいたい秋の9月ごろである。つまり、9月の後半から3月ごろまでの半年間は、基本的に渓流釣りをやってはいけないのである。
ではその半年もの間、渓流釣りファンは何をしているかというと、夜な夜な家でフライ(毛針)を巻いたり、来年のための仕掛けなどを作って、ひたすら解禁を待っているのである。その、半年間待ちに待った解禁の季節がやってきたのである。思わず頬が緩むのがわかってもらえるだろう。
雪に囲まれた川で今年の初釣りを楽しむ
「おいおい、これは温泉のコラムだろ?」って、わかってまんがな。ちゃんと、温泉を紹介するって。しかも、解禁当初から40センチオーバーのイワナがロッド(竿のことです)を引き絞り、釣りを楽しんだあとには、ホカホカの温泉あふれる露天風呂が待っている、そんな最高の温泉地をご紹介しますがな。
ズバリ、それは岐阜県と長野県の県境に湯煙を上げる「奥飛騨温泉郷」。奥飛騨温泉郷というのは、北アルプスを望む山あいに湧く5つの温泉地の総称だが、この温泉郷には蒲田川(高原川)と平湯川が交差するように流れていて、川に流れ込む温泉水の関係で解禁当初でも水温が高く、でかいイワナやヤマメがうじゃうじゃいる(釣れる、というわけではない)ことで有名なのである。うしし。
ちなみにこの原稿を書いている時点では、まだこの川は解禁を迎えていない。というわけで、これから書くネタは昨年の3月に行ってきたときのものだ。実は僕は「ドリームウィル」というルアーメーカーのフィールドスタッフをやっている。その関係で、このときはそのルアーメーカーのテスター(つまりとても釣りが上手な人たち)が一堂に会して、「釣りと温泉露天風呂を満喫する会」というのが催されたわけである。僕はそれに招かれて、大喜びで釣り道具一式とタオルと着替えを持って、はるばる埼玉から岐阜県まで出掛けていったのだ。この会は今年も開催されることになっていて、この原稿がアップされてしばらくした頃には、やはり奥飛騨の地で釣りを楽しみ、冷えた体を露天風呂でじんわりと温めてご満悦なのであろう。ははは。
“釣り師”とは職業では無く“生き方”である
さて、今回の目的地・高原川が流れる岐阜県の奥飛騨温泉郷は、安房トンネルの開通で関東圏からもぐっとアクセスがよくなった温泉だ。また中部地区からも近く、関西エリアから出かけるにも、まぁちょうどいいくらいのところに位置している。そしてこの温泉地の最大の魅力は、なんといっても湯量の豊富なこと。民宿を含めてたくさんの宿が立派な露天風呂を持っていて、さらに「新穂高の湯」など、雄大な山並みを望みながら入浴できる共同露天風呂もある。このあたりのことはまた後ほど詳しく紹介することにしよう。
で、問題の釣りである。温泉郷を流れる高原川(蒲田川)は、毎年の渓流釣り解禁時には、首都圏からも多くのアングラーが押し寄せる。まさしく渓流釣り師にとっては垂涎の川だ。昨年行ったときも、スキーヤーよりも釣り師の方が多かったくらいである。
この中で釣りをするのであるからして、いくら魚がうじゃうじゃいても、相手もバカでは無いから、そう簡単に釣れてはくれないのである。ちなみに僕の昨年の釣果は、2日間釣って、23センチのイワナを1匹のみ。トホホである。だが、同行したフィールドテスターの皆様はさすがに釣りがうまい。大師匠が釣った48センチのイワナを筆頭に、30センチクラスのイワナやアマゴを、6人で70匹あまりも釣り上げてしまったのである。こういう人たちがいるから、僕のような下手っピにはちっとも釣れないのである。
でもイイのである。僕は漁師では無いので、別に魚がたくさん釣れなくても、楽しく釣りができて、1匹じゃさすがになんだけど、何匹かの魚たちが遊んでくれればそれでイイのである。負け惜しみじゃ無いぞ。「釣り師とは肩書きでも無ければ職業でも無い。それは生き方だ!」と、僕が敬愛する漫画家・いましろたかし氏も言っている。
僕は“釣り師という生き方”が大変気に入っている。そして僕の生業は“温泉入浴家”である。まだ雪の残る川でたっぷりと釣りを楽しんだあと、冷えた体を露天風呂で温めるのは、また格別なのである。さあ、温泉へ行こう!
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